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大人にこそ童謡を!【第1回】「童謡メンタルセラピー」とは

山西 敏博 (やまにし としひろ) 公立 長野大学 企業情報学部教授

認知(アドラー)心理学の観点から、「童謡」の持つ“癒し”の可能性を探る。

いま、オトナにこそ「童謡」を!

「菜の花畑に 入日薄れ 見渡す山のは かすみ深し」「秋の夕日に 照る山もみじ」・・これらの詞を読む時、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。「子どもの頃に小学校で歌った曲」、「お母さんと一緒に手をつなぎながら、紅葉の樹の下を通ったあの道」。さまざまな想い出がこれらの曲と共によみがえってくることでしょう。

連日様々なニュースが、昨今新聞紙上を賑わしています。交通や災害による死亡事故、外国でのテロ行為や、国内においても無差別な大量殺りく事件や、人間関係のもつれによる殺傷事件。大変残念ながら、暗いニュースが日々報道されています。一方、私たちの日常生活を思い起こしてみましょう。仕事上での人間関係によるストレス、子育てに悩む両親、生徒指導や保護者とのあつれきで日々多忙な教師など、思い悩む方々が数多く存在しています。そのような中で、子どもの頃に聴いた、口づさんだ童謡を、今一度ふと聴いてみたり、歌ってみたりしてはいかがでしょうか。そうしてみるだけでも、ふっと肩の力が抜け、ふっと肩の荷が下りたりする感じがしませんか。そのようなつらい日々を送っている人たちを支援する方法の一つが、この「童謡メンタルセラピー」なのです。

「童謡メンタルセラピー」は、文字通り「童謡」を聴いてもらうことで「旧(ふる)き佳(よ)き時代」を想い出し、懐かしんでもらうものです。それと同時に、様々な心理療法を交えて、当時の楽しかったできごとや思い出を振り返ってもらう活動です。時には今抱えているつらいことや苦しいことなどを、受講者の方々と共に、共有してもらえることもあるでしょう。そして、その後に少しずつ元気になっていけるという実践なのです。童謡「もみじ」の1番は「秋の夕日に照る山もみじ」と、明るくきれいな印象を持たせていますね。他方、2番では「谷の流れに散り浮くもみじ」と、その美しさを終わらせる、もの悲しさを含んでいます。ところでこの曲が含むテーマとしては何でしょうか。人間に例えると「生涯における最期(散り際)の場面でも、人は色鮮やかに映える事ができる」。と、考えることができませんか。そこから「私の生涯において、最後に花を咲かせることができるできごと、といったら何だろうか」という自問自答ができますよね。そうすれば、「もううん十歳の老人だから・・・」ではなく、「うん十歳の人間だからこそ、家族や孫のために、私の経験を伝えていけるぞ。」と、前向きなる「ひと花」を咲かせることができるのです。そうすることで、私たちは「もみじ」の曲から学びながら、さらに成長していくことができるのです。そうです、「童謡」は素晴らしい底力を秘めているのです。

このように、認知(アドラー)心理学の観点から、「童謡」を、日々の生活に疲れている大人の方や、晩年を漫然と過ごしてしまっている方々にこそ、聴いて頂きたいのです。そしてその曲から「旧き佳き時代のできごと」を関連させながら、前向きに考えて、前向きに語りあい、そして前向きに捉えていくことで、より楽しい生活が待っているのです。「なんで、今さら【童謡】なの?」などと、「どうよう(動揺)」することはありません。ロックや演歌、J-Popなどと「どうよう(同様)」に、子どもの頃の曲を口づさみ、皆さんで分かち合いながら「どうよう?」と、楽しんでみてはいかがですか。あなたも子どもの時代に立ち返って、もう一度「童謡」を聴いてみませんか。きっと楽しく、ほっこりとした気分になりますよ。

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山西 敏博 (やまにし としひろ) 公立 長野大学 企業情報学部教授 ハイデルベルグ大学(アメリカ)修士課程修了、
大阪大学大学院 博士後期課程 満期単位取得。
現・長野大学 企業情報学部教授。
国際音楽メンタルセラピスト協会会長・日本童謡学会常任理事
高校生NIE研究会理事・新聞教育研究協議会常任理事
グローバル人材育成教育学会、日本CLIL学会、日本NIE学会会員ほか。
「GENIUS英和大辞典」「大学入試問題正解(旺文社)赤本(教学社)」ほか
韓国語版書物を含めて、全62冊の執筆・制作に携わる。