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題 名『Over Thirty クライシス ~30代のストレスマネジメント』三野節子著

著者名
三野 節子
ISBN
9784344927278
出版年月日
2020年3月3日
価格
800円+税
投稿日
キーワード
心理
概要

身体だけではなく心の健康の重要性も叫ばれる現代社会。
日々ストレスフルな環境の中、人生の転換期を迎える
「30代サラリーマン」はどのようにして課題と向き合い、
歩みを進めていけばいいのか。
元大学教員・臨床心理学博士である著者が
自身の体験と理論を密接に結び付けながら答えを出す。
「自分の人生、こんなはずでは……」と
今の自分に悩むサラリーマンに贈る一冊。

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編集部より
「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」。大きな反響を呼んだ、ゼクシィのCMコピーである。主体性や個性が尊重され、個々人がかつての重圧から自由になったかのように見える社会ではあるものの、前時代の残滓が靴の裏のガムのようにこびりつき、女性たちの足取りを重くしている。特に、フェミニズム運動が盛んになった今日でも、女性を抑えつける社会的束縛は強い。例えば結婚や出産について、女性の義務、あるいは「一人前」の女性として認められるための通過儀礼と考える人々がまだ根強く生き残っていることは、職場や親戚付き合いの場でも容易に確かめることができるだろう。むしろ女性たちが声をあげたことで、ようやくこうした問題が可視化されたのが現状と見るべきかもしれない。

本書『Over Thirty クライシス』は、そうしたストレスフル社会に生きる女性に対し、励ましの声をかける書である。とはいえ、本書がかけるのは気休めの言葉ではない。むしろ女性たち──とりわけタイトルにもあるように30代の女性たち──が、強くたくましく生きられるよう提言するのが本書である。著者の三野氏は、自身のアカデミックライフを振り返りつつ、そこで感じたストレスにまつわる実体験や、ストレスを味方につけるための方法を紹介している。本書を読めば、30代をどう生きるかという問題に前向きな示唆が与えられることだろう。

ストレスという言葉には、「言葉のアクセント」という意味がある。すなわち、言葉のどこに重きを置き、どこを強調するかということだ。このことを踏まえれば、本書はストレスを「人生のアクセント」として解釈する書籍であると言える。ストレスがなければ、人生は一本調子の読経のようになってしまう。緊張から逃れる代わりに、張り合いのない毎日が続くことだろう。

もちろん本書は、そうした試練から「逃げる」という選択肢があることも忘れてはいない。本書が最も重視しているのは、あくまでも精神面の健康である。自らの心や体を壊してまで勝利を得ようとする必要はない。気付けば無理をしすぎてしまう自分への抑止力としても、本書を携えることをお薦めしたい。

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著者
三野 節子